持たされたポジションなら切れ


 

8月も残り2日。夏枯れ相場も終わりに近い・・・、というのが例年では常であるが、今年は何というか、世界的な貿易摩擦やトルコ・リスク等の影響で8月のレンジ相場に程よい刺激を与え、また一部の市場においては大相場を演じるなど、何とも興味深い月になった。また、ヘッジファンドは、拡大方向へベットし続けているが、どちらに傾いても反動は大きそうである。

運用の世界においても、ズタボロとホクホクのコントラストが強く、そこそこの成績であったというトレーダーは余り聞かない。特に為替とオイルは。

8月の終盤以降、新興国・資源国関連の銘柄が巻き返した事から、幾分ロスの回復にも繋がった様にも見受けられるが、実際のところ、会社のリスク管理上、どん底で切らざるを得なかったトレーダーも多い。周りの人間も、本人がポジションを切らざるを得なかった状況も知らず(まだ保有中と思っている)「半分戻っただけでも良かったじゃん」と言ってくる。

悪気は全く無いのだろうけども。

マーケットと対峙する以上リスクと向き合う必要があり、そのリスクをコントロールするために資金管理がある。そして、最終的にストップにヒットすれば機械的に切るだけになる。

ただ、同じ「切る」行為でも、前向きか後ろ向きかで状況は異なる。前者は収益を積み重ねていく過程における「必要経費」であり、後者は、事前準備もシナリオも無い中で、仕方なく「持たされてしまった」ポジションであり、結果として強制的に「切らされた」ポジションになり、時間×資金の2つを「浪費」し実損を計上した事になる。

90年代から00年中頃まではボラも隙間もあったので、仮に「持たされた」ポジションでも挽回のチャンスは幾らでもあった。

しかし、今は違う。その隙間は全て埋められており、マニュアルで何とかなる様な状況ではない。

尚更、当の本人が苦し紛れに“他に繋ぐ”行為に走り、「ひとまず、ポジション・スクエアで調整し、その後回復のチャンスを伺う」と言い出したら終わりである。

事前準備もシナリオも無い人間が持つスクエアはアウトライトよりタチが悪い。

持たされたら切れ。

 

 

 

 

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About 吉中 晋吾 (よしなか しんご)

バーグインベスト株式会社 代表取締役社長 日系資金運用会社にてチーフディーラー兼ジェネラルマネージャーとしてデリバティブ運用業務、ディーラー育成に従事した後、2012年バーグインベスト株式会社設立。現在、同社代表。 国内外の裁定取引、スプレッド取引にフォーカスした運用スタイル。これまで指導してきたディーラーも国内外で独立し活躍している。 現在の会社では、市場研究とトレーダー/ディーラーの育成に力を入れており、また個人投資家に対しても基礎を中心とした教育プログラムを提供している。