吉中コモディティ研究所

THE YOSHINAKA INSTITUTE OF COMMODITY INVESTMENT

時事通信社への寄稿記事:◎〔アナリストの目〕NY金、1300ドル台で買われる動き=吉中晋吾氏

2018/03/06 07:04

 

◎〔アナリストの目〕NY金、1300ドル台で買われる動き=吉中晋吾氏

 

 

 

ニューヨーク金先物相場は、パウエルFRB議長の議会証言を境に下落に転じたものの、米輸入規制を警戒感するリスク回避の流れから節目の1300ドルでサポートされる展開となっている。

 

NY金がドルインデックスとの強固な連動性を維持しており、その連動性がNY金価格の動向を占う上で最も重要なファクターであることに変わりはないが、今回の関税ショックという新たなファクターが、NY金価格をサポートする材料として加わったことには留意しておきたい。

 

注目点は①ドルインデックス(米長期金利) ②建玉動向(COTリポート)と上場株式投資信託(ETF)残高の水準 ③他メタルとのスプレッドになる。

 

以下、それぞれのポイントを検証する。

 

①については、上述の通り、直近ではNY金が最も影響を受ける要因であり、ここ3カ月の(逆)相関性は92%近くで推移しており、一定のリズムと間隔で伸縮を繰り返すパターンにチャンスを見いだしたトレーダーや機械的な売買も増え始めている。

 

また、1300ドル超えではNYダウとの連動性も高くなるのだが、ポイントとしては、ドルインデックスとNYダウのどちらかが政局等を背景にイレギュラーな動きになったときは、一時的でも、ロスカットが集中する可能性があるので注意したい。

 

②に関しては、前回のリポート(1月16日)では「まだ、(NY金価格が)上値を追うスペースはあるが、息苦しくなる水準」と述べられているが、そのときの価格が約1340ドルであり、その後、金価格は1360ドルをタッチして下落に転じた。同様の傾向が2月にも見られており、当面、投機筋のロングは1350ドル付近から吐き出されるパターンとなっている。

 

また、NY金ETFであるが、先物市場の動きとは若干異なり、目立った残高変動もなく堅調に推移している。中期目線は若干リスクを警戒したスタンスのようである。

 

③は、NY金と他メタルのスプレッドであるが、金対白金スプレッドが高水準で推移する中、金対銀も80:1の水準に達することになった。前回のリポートでも言及しているが、ポイントは、メタル全体を見渡して、個々の銘柄を上述とで分析することによって、売買すべきベストな銘柄が浮かび上がって来るのではないだろうか。

 

仮に、NY金単体で「上昇」のサインが得られるのであれば、他の2銘柄はより「うまい」ということになる。

 

※吉中 晋吾(よしなか・しんご)氏 バーグインベスト代表

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