吉中コモディティ研究所

THE YOSHINAKA INSTITUTE OF COMMODITY INVESTMENT

時事通信社への寄稿記事:〔アナリストの目〕NY金、今年のレンジは1200~1360ドル=吉中晋吾氏

◎〔アナリストの目〕NY金、今年のレンジは1200~1360ドル=吉中晋吾氏

 

 

 

ニューヨーク金先物相場は、昨年末からの堅調な地合いを維持したまま新年を迎えた。直近は、心理的な抵抗線である1350~1360ドルを前に、取りあえずの利益確定売りを消化し、横ばいで推移している。

 

市場参加者の多くが予想していた今年のレンジ(1200~1300ドル)の高値、1300ドルを年末年始で早々にクリアした格好だが、筆者は以下のポイントのバランスに注目し、1200~1360ドルと予想する。

 

注目点は①ドルインデックス(米長期金利)②建玉動向(COTリポート)③上場株式投資信託(ETF)残高の水準。今年の相場は、これらのバランスを取りながら運転すれば、少なくとも「やけど」をすることは避けられるのではないだろうか。

 

以下、それぞれのポイントを検証する。

 

①については、ちょうど昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)を境に、米長期金利が上昇軌道に乗る中、逆相関にあるはずのNY金も足元を固め上昇に転じた。この要因の一つは(欧州通貨高を背景とした)ドルインデックスの下落だ。12月13日のFOMC以降のNY金と米国債先物との相関性の崩れも、同時期からのドルインデックスの下落率を勘案するとバランスが取れる。

 

②に関しては、内部要因は言うまでもなく、内側の過熱度を知らせてくれる重要なツールだ。基本的には、レンジ相場の場合は「サポートとレジスタンス」として、トレンド形状の場合は「押し目と戻り」として利用されるが、最新のリポート(16日時点)では少々熱い。まだ、上値を追うスペースはあるが、息苦しくなる水準に近づいているため、ファンドがロングを吐き出すタイミングも近づいている。

 

③は、先物ポジションとの対比が中長期目線の商いにおいて非常に重要となる。転換期をも知らせてくれるが、こちらの方が息は長い。前回上昇を示唆したタイミングは昨年の12月8日ごろであり、そこからの上昇幅が100ドル近い水準を考えれば、②の変動幅(約60ドル)より倍近くのレンジになる。

 

◇視点を変えれば白金に投資妙味

 

ところで、一つ視点を変えると面白い考え方もある。

 

投資において重要なのは、常に割安な銘柄を探すこと。この考えに基づけば「NY金は今年幾らになるか」という視点よりも、「メタル全体の中で割安な品目は何か」と考えることの方が、より快適な投資活動を行う上でプラスに働く。

 

その答えはシンプルに「白金」になるが、この辺りは、筆者のような現役のプロの運用者も、一般の投資家も共有できる視点のはずである。「白金買いに妙味あり」だ。

 

※吉中 晋吾(よしなか・晋吾)氏 バーグインベスト代表

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