SGX TSR20



そもそも日本人にとってコモディティという言葉に馴染みが薄いのは昔から変わらないが、それこそ金や原油以外の商品は「何だそれ??」というのが現実である。

例えば天然ゴム。
実際、組織でディール/トレードをしている人間でもゴム「知ってますよ」というのは少ない。

昔、このブログでも少し触れたかもしれないが、今でこそ主にメタル・オイルといったコモディティから通貨、金利先物、株価指数先物と幅広く市場をカバーしているが、そもそものキャリアのスタートはこの天然ゴムビジネスであり、運用者としてアシスタントからチーフディーラーまで押し上げてくれたのが天然ゴム先物市場でのディールであった。

故に今でもこのキャパの小さい市場に愛着もあればリスペクトもあり、シンガポールの方に足を向けて寝る事も出来ない(気持ちだけ)。

そこで今回はシンガポール取引所SGX TSR20について少し書いてみたい。

まず紹介する以上は幾つかの条件をクリアした商品である事を付け加えたい。
その条件は、➀市場がしっかり整備されており且つ「伸びしろ」がある事、➁個人でも参入できる流動性がある事で、加えてもう一つSGX TSR20の他と異なるポイントはスポットから6カ月くらい先までバランスよく出来高が生まれている事である。

くどいようだが、「ゴム先物市場」は現在もピーナッツであり、出来高があると言っても所詮その世界の中での話である。

しかし概して先物市場においては、殆どの場合一番近い所(今日現在が4月であれば4月限または5月限)が最もアクティブであり、稀に市場構造の理由から東京の様に最も遠い限月がアクティブな市場(今日現在が4月であれば例えば9月限)もあるが、SGXTSR20は限月関わらず「平均して出来ている」事が他と大きく異なる特徴である。

この時点で「TSR20」とは何ぞや?との疑問もあると思うが、天然ゴム先物市場にはRSSとTSRが上場されており、そこにはコスト差やグレード差がある事だけ今回は述べて、より詳しく知りたい場合は別途コンタクトを頂いて構わない。

その市場参加者は実需筋が大半を占めており、2015年度の調べ(SGX)では、メーカーおよび輸入業者14%、工場・加工業者18%、トレードハウス32%、金融機関31%、アセットマネージャー5%で、実際に市場でポジショニングした人なら分かるが、「特定」が市場に大きすぎる影響を与えているような動きは見受けられない。

因みに、プロのディーラーが市場に参入する(好む)条件として、スプレッド市場の存在とそのボリュームが一つ大きな要素として挙げられるが、このSGX TSR20ではその領域もしっかりカバーしている。

ここまで良いポイントについて述べてきたが、ネックはティック$5の抜け幅か・・・まあこれはブローカー側の課題か。

私の知る限りであるが、個人が入り易い環境を整えているブローカーは現状そこまで多くない。「入り易い」とは、積極的に売買が出来るコスト水準とブローカーの対応であるが、FXとは比較できないまでも、そのイメージの入り易さがあれば個人やセミプロも増えるだろう。
同時に、もっと敷居を低くして、市場を分かり易く紹介してあげる事も必要であるが。

ブローカーはこちらサイドに積極的に営業をする。しかし、我々の様なプロップ/ファンドの人間に市場内で出来る事は、基本的には市場を「厚くする」手助けだけで、結局市場を「大きくする」のは個人だからね。

自身も最前線から一歩引いて次の世代の育成を始めて暫く経つが、今後も市場に厚みを与えるプロの育成と、個人投資家を市場へ案内する活動を続けていきたい。


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